運動量と力積がわかると、物がぶつかる、はね返る、受け止められる、爆発するときに何が起きるかを説明できます。このガイドでは、運動量と力積の公式、力-時間グラフ、運動量保存則、衝突と反動を、三つの計算例と減点されやすいミスとあわせて解説します。

要点

  • 運動量は質量×速度です:p = mv。ベクトル量で、単位は kg m/s です。
  • 力積は力×時間です:J = FΔt。力積は運動量の変化に等しくなります。
  • 力-時間グラフの下の面積が力積です。
  • 閉じた系では、出来事の前の運動量の合計と、後の運動量の合計は等しくなります。
  • 運動量はどんな衝突でも保存されます。運動エネルギーが保存されるのは弾性衝突だけです。

運動量と力積とは?

ひとことで言うと: 運動量は、物体がもつ「運動の勢い」です。質量×速度(p = mv)で、単位は kg m/s です。力積は、運動量を変える「ひと押し」です。平均の力×力がはたらく時間(J = FΔt)で表します。力積と運動量の関係により、力積は運動量の変化に等しく、FΔt = mv − mu となります。

どちらもニュートンの第二法則から導かれます(ニュートンの三法則を参照)。

運動量と力積の公式と単位の表:p = m x v、J = F x t、保存則、運動エネルギー 運動量と力積で必要な六つの公式。

運動量:p = m × v、単位は kg m/s。力積:J = F × t、単位は N s。 力積と運動量の関係:F × t = mv − mu。力:F = (mv − mu) / t、単位はニュートン。 保存則:m₁u₁ + m₂u₂ = m₁v₁ + m₂v₂。運動エネルギー:KE = ½mv²、単位はジュール。

物理でいう運動量とは?

p = mv です。p は運動量(kg m/s)、m は質量(kg)、v は速度(m/s)です。

速度には向きがあるので、運動量はベクトルです。東向きに 20 m/s で走る 1,000 kg の車は、東向きに 20,000 kg m/s の運動量をもちます。西向きに走れば、西向きに 20,000 kg m/s です。一次元の問題では、向きを符号で表します:東を +、西を − とします。

力積とは?運動量をどう変えるのか

力積は、平均の力×力がはたらく時間です:J = FΔt。単位はニュートン秒(N s)で、1 kg m/s と同じです。

F = ma から始めて、a を (v − u)/Δt と書き、Δt をかけます。すると力積と運動量の関係が得られます:

FΔt = mv − mu = Δp

つまり、力が長くはたらくほど、運動量の変化は大きくなります。また、力は運動量の時間変化率です:F = Δp/Δt。力積もベクトルで、合力と同じ向きを向きます。

力-時間グラフから力積を求めるには?

足でボールをけると、力は大きくなってから小さくなります。力積は力-時間グラフの下の面積です。

形の違う力-時間グラフで、力積をグラフの下の面積として求める方法の表 力積は、力-時間グラフの線と時間軸ではさまれた面積です。

  • 長方形(一定の力):面積 = F × t。例:50 N × 0.2 s = 10 N s。
  • 三角形(力が増えてから減る):面積 = ½ × t × Fmax。例:½ × 0.04 × 200 = 4 N s。
  • 台形(力が a から b へ一定の割合で変わる):面積 = ½ × (a + b) × t。例:½ × (10 + 30) × 2 = 40 N s。
  • 時間軸より下の面積は、負の力積です(力が逆向き)。

逆も成り立ちます。運動量-時間グラフでは、傾きが合力になります。

運動量保存則とは?

閉じた系(外力の合力がない系)では、出来事の前の運動量の合計は、後の運動量の合計に等しくなります。二つの物体なら:

m₁u₁ + m₂u₂ = m₁v₁ + m₂v₂

u は前の速度、v は後の速度です。ニュートンの第三法則により、二つの物体は同じ時間だけ、大きさが等しく逆向きの力で押し合います。そのため、一方が失った運動量を、もう一方がちょうど同じだけ得ます。

弾性衝突と非弾性衝突の違いは?

衝突の種類 運動量は保存? 運動エネルギーは保存? 例
弾性衝突 はい はい 気体分子、理想に近いビリヤード球
非弾性衝突 はい いいえ、KE の一部が失われる 車どうしがぶつかって離れる事故
完全非弾性衝突 はい いいえ、KE が最も多く失われる 物体がくっついて一緒に動く

確かめるには、前と後の KE = ½mv² を合計します。合計が同じなら弾性衝突、減っていれば非弾性衝突です。「失われた」エネルギーは、熱や音、物体の変形に使われます。エネルギーについては仕事とエネルギーの定理のガイドで解説しています。

計算例1:バットが加える力は?

0.15 kg のボールが 20 m/s でバットに向かってきます。バットはボールをまっすぐ 30 m/s で打ち返します。接触時間は 0.010 s です。平均の力を求めましょう。

  1. ボールの最初の向きを正とします:u = +20 m/s、v = −30 m/s。
  2. 運動量の変化:Δp = m(v − u) = 0.15 × (−30 − 20) = 0.15 × (−50) = −7.5 kg m/s。
  3. 平均の力:F = Δp/Δt = −7.5 ÷ 0.010 = −750 N。
  4. 答え:バットは、ボールの最初の向きと逆向きに 750 N の力で押します。

計算例2:くっつく二台の台車

3 m/s で動く 2 kg の台車が、止まっている 1 kg の台車にぶつかります。二台はくっつきます。

完全非弾性衝突のアニメーション:3 m/s で動く 2 kg の台車が止まっている 1 kg の台車にぶつかり、2 m/s で動き出す 運動量は 6 kg m/s のままですが、運動エネルギーは 3 J 失われます。

  1. 前の運動量:(2 × 3) + (1 × 0) = 6 kg m/s。
  2. くっつくので、後の質量の合計は 2 + 1 = 3 kg。
  3. 後の運動量 = 前の運動量:3 × v = 6、よって v = 2 m/s。
  4. 前の KE:½ × 2 × 3² = 9 J。後の KE:½ × 3 × 2² = 6 J。
  5. 運動エネルギーが 3 J 失われたので、これは完全非弾性衝突です。

計算例3:ライフルの反動(爆発)

爆発は、衝突を逆にしたものです。最初はすべて静止しているので、運動量の合計は前も後もゼロです。

4.0 kg のライフルが、0.010 kg の弾丸を 400 m/s で発射します。ライフルの反動の速度を求めましょう。

  1. 前の運動量 = 0。
  2. 後の弾丸の運動量:0.010 × 400 = 4.0 kg m/s。
  3. 合計は 0 のままなので、ライフルの運動量は −4.0 kg m/s。
  4. ライフルの速度:−4.0 ÷ 4.0 = −1.0 m/s。つまり、弾丸と逆向きに 1.0 m/s で反動します。

爆発では運動エネルギーが増えます。化学エネルギーが運動に変わるからです。それでも運動量は保存されます。

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エアバッグやひざを曲げる着地で力が小さくなるのはなぜ?

運動量の変化は、最初の速さで決まります。F = Δp/Δt なので、Δt が長いほど力は小さくなります。

60 kg の人が着地するとき、止まるまでの時間を長くすると力が小さくなることを示すアニメーション 運動量の変化は同じ。止まる時間が十倍なら、力は十分の一です。

60 kg の人が 5 m/s で着地するので、運動量の変化は 60 × 5 = 300 kg m/s です。 脚を伸ばしたままだと 0.05 s で止まります:平均の力 = 300 ÷ 0.05 = 6,000 N。 ひざを曲げると 0.5 s で止まります:平均の力 = 300 ÷ 0.5 = 600 N で、十分の一になります。 (平均の合力です。ジャンプした人の重さは無視しています。)

エアバッグ、シートベルト、クラッシャブルゾーン(つぶれて衝撃を吸収する部分)、体操用マット、自転車用ヘルメット、遊び場のやわらかい地面は、どれも止まるまでの時間を長くします。そのため運動量の変化率が下がり、力が小さくなります。

運動量と力積でよくあるミスは?

  1. 向きを無視する。 正の向きを決めたら、最後まで変えないこと。はね返ったボールの最後の速度は負になります。
  2. ベクトルではなく速さを足す。 向かい合って動く台車の運動量は、符号が逆です。二次元では、放物運動と同じように x と y を別々に扱います。
  3. 単位を混ぜる。 10 g は 0.010 kg、10 ms は 0.010 s です。
  4. KE が保存されると思い込む。 そう考えてよいのは弾性衝突のときだけです。
  5. くっついたときに、合計の質量を忘れる。
  6. 面積ではなく最大の力を使う。 力積は力-時間グラフの下の面積です。

運動量と力積は試験範囲のどこに出る?

コース 位置づけ 扱う内容
AP Physics 1 Unit 4: Linear Momentum(多肢選択式セクションの 10–15%) 力積、保存則、衝突
AQA GCSE Physics (8463) 4.5.7 Momentum、Higher Tier(上級)のみ p = mv、保存則、運動量の変化(物理単独科目のみ)
AQA A-level Physics (7408) 3.4.1.6 Momentum 力積、力-時間グラフ、衝突、爆発(1次元)
JEE Main 2027 Physics Unit 3(Laws of Motion)と Unit 4(Work, Energy and Power) 力積、保存則、1次元と2次元の衝突

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2026年11月7日に公式情報源で事実を確認しました。

FAQ

運動量はベクトルですか、スカラーですか?

ベクトルです。速度と同じ向きを向きます。一次元の問題では、+ か − の符号で向きを表します。

力積の単位は何ですか?

ニュートン秒(N s)です。力積は運動量の変化なので、運動量の単位 kg m/s と等しくなります。

非弾性衝突でも運動量は保存されますか?

はい。閉じた系では、どんな衝突でも運動量は保存されます。減るのは運動エネルギーだけです。

運動量と運動エネルギーの違いは何ですか?

運動量(mv)はベクトルで、どんな衝突でも保存されます。運動エネルギー(½mv²)はスカラーで、弾性衝突のときだけ保存されます。

接触時間が長いと力が小さくなるのはなぜですか?

運動量の変化は、最初と最後の速度で決まります。力は運動量の変化を時間で割ったものなので、時間が長いほど力は小さくなります。エアバッグや体操用マットは、このしくみで体を守ります。

運動量は AQA GCSE の Foundation(基礎)の試験に出ますか?

いいえ。AQA GCSE Physics (8463) では、4.5.7 Momentum は Higher Tier のみと示されています。詳しくは AQA の specification(シラバス)を確認してください。

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出典

  1. AP Physics 1: Algebra-Based Course and Exam Description (College Board)
  2. AP Physics 1: Algebra-Based course page (AP Central)
  3. AQA GCSE Physics 8463 subject content: Forces
  4. AQA A-level Physics 7408 subject content: Mechanics and materials
  5. Syllabus for JEE (Main) 2027 (NTA)